2017年07月28日

伝染病(作詞・作曲:甲本ヒロト)



この曲は、「少年の詩」に表現されるような、
青年期の、枠にはめてこようとする社会に対する反抗のようにも聞こえる。

それらへの、皮肉を伝染病として、当時の彼らの
毒々しさを持って表現した。

つまりは、少年から大人へ
一歩踏み出そうというときに、染み付いた常識やルールを守って
行きなさいという、金太郎飴人間製造型の義務教育に
釘を刺した。まるで、ここで染み付いた学校教育は、伝染病のようだ、と。

前回解説の「涙の男」の中にも
「僕を止められるか 常識という 弱い力で」

という表現があるが、ここにも密接にリンクしていると思われる。


卒業証書、という表現は、その病気にかかった証明になるんだよ、
という高度な皮肉なんじゃないか、そんな風に感じた。


ちなみに、「感染症」と「伝染病」って何が違うんだろう?と
疑問に思ったので、調べてみました⬇︎

微生物が体内に侵入し、体内で増えてからだの中に居つづけることを「感染」と言います。そして、下痢や発熱などの症状が現れてくると「感染症」にかかったと言います。感染症のうち、ヒトからヒトへ、あるいは動物からヒトへうつり広がるものを「伝染病」と言います。ですから食中毒やMRSA※2)などはヒトからヒトにうつることはないので、感染症ですが、伝染病とは言いません。これに対してインフルエンザやSARSなどはヒトからヒトにうつるので、伝染病であると言えます。(エーザイ株式会社HPより)


出だしは

Oh Yeah まぼろしが 世界をつつむ
Oh Yeah 本当に 恐ろしい
Oh Yeahしゃべれない 子供がふえる
Oh Yeah しゃべれない 言葉しか



言葉しか、しゃべれない、というのは、
心がこもっていない、ただ単純に情報伝達の意味での言葉しかしゃべれない、
マニュアルを言うだけのロボット人間への批判じゃないか。

こういうことを続けていくと、子供達が機械化されていき、個性の埋没につながるよ、と。

なんとなく、この部分でセカンドアルバム・young and prettyに収録されている曲「スクラップ」
を思い出した。

未来の夢を 書いた作文
子供の頃に 書いた作文
そんな言葉を いつまでも
バカにされても 忘れないで



こちらはマーシー作なので、
このころの純粋な、青年期特有の心情を歌った彼らはどこかで作る曲も似てきていたのだろう。


原因不明 伝染病
原因不明 伝染病
卒業証書の裏側に 病原菌がついていた
予防注射もワクチンも みつかっちゃいない


ちなみに、これを聞いたときに真っ先に思い出したのは
のちのハイロウズ「つき指」という曲だ。


「デング熱」と「マラリア」を歌詞に使い、この十数年後に
例えではなく本当の伝染病を用いた歌を作ることになるんだなー、
と一人で勝手に興奮した(笑)


それと、彼らが漢字3文字のタイトルの曲、がどれくらい他にあるのかを調べてみました⬇︎

ブルーハーツ
「脳天気」

ハイロウズ
「岡本君」

クロマニヨンズ
「流線型」
「伝書鳩」
「光線銃」


特に共通点は漢字3文字という以外ありません(笑)

posted by 荒井コウスケ at 23:00 | Comment(1) | 未発表曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月10日

涙の男(作詞・作曲 甲本ヒロト)




87年に一度だけ演奏された曲。

どんな背景があったのかは様々な憶測があるが、
もしかして、「僕の右手」のモデルになっている
MASAMIの死を歌にした、もう一つの歌なのか?
そんな想像もされた。

タイトルに「〜の男」とつけているが、
もし今ヒロトが同じような曲を作るとしたら「〜マン」にしてるだろうな、
というヒロトのタイトルのつけ方にも違いを感じた。

「お前の宇宙に入れてくれ」でも取り上げられていた
「人の気持ち」。わかるわけなんてない。(これはマーシー作)
そういう風に何度も歌にする当時のヒロト、そして彼らには
何か相手の気持ちがわからない場面に対する葛藤があったのかもしれない。

故に、その悩みがヒロトの観察眼や感性を研ぎ澄まさせ、ブルーハーツのような名作がたくさん
生まれたのかもしれない。

出だし

誰か言葉にして 誰か言葉にして
うまく言えない うまく言えない

説明できますか 説明できますか
苦しいわけを さみしいわけを



自分の今の寂しさなんかを、説明できない自分のもやもやを
そのままストレートに歌詞にした。

ヒロトは、いろんなことを説明したかったのかもしれない。

こういう、原点のような曲に立ち返ると、ブルーハーツのみならず
それ以降のクロマニヨンズの作品への影響していることがわかる。

説明したかったからこそ、言葉の表現力がどんどんついて
そして、簡潔に本質をつく歌詞がパワーを持つようになったんだろう。


涙 涙 涙の男
優しい人に 僕は
なれそうもない


ヒロトの「やさしい」という言葉は、
「人にやさしく」をいつも想像させる。

その言葉通り、人に優しくあろうとして、でもそれが何なのかわからなくて、
考えて考えて、やさしいの定義がヒロトの中で極端に高度化されていった。

優しさだけじゃ 人は愛せないから
ああ なぐさめて あげられない(人にやさしく)


その結果、ヒロトの考える「やさしい」には到底辿り着けない、
そんな風に思ったのかもしれない。



誰かが叫んでる どこかで叫んでる
ここから先は 来てはいけない

僕を止められるか 僕を止められるか
常識という弱い力で



なぜ来てはいけない、と表現しているのか
と考えてみた。

きっと、それは常識の中で行動しろよ、って世間が
自分の個性を止めようとしてくる、そういう空気感に
反発したい気持ちの表れだろう。

「おかしいって言われたら、
それが自分なんだって誇りに思ってよ。
もっとやってやれ」

ただし、ヒロトの中で、「怒り」という負の感情は歌には載せないと、以下の通りに方tぅている


怒りは詩に乗せないな。怒りが歌になっているとしたら僕は歌いたくないし。



涙 涙 涙の男
自分のためだけにしか
生きられないよ

人の心が わかってたまるか
お前の気持ちが わかってたまるか
人の心が わかってたまるか
お前の気持ちが わかってたまるか!



こういう歌詞、TRAIN-TRAINにもつながっていくんじゃないか、
そこまで考えてしまった。まあ、そっちはマーシーだけど。

「聖者になんてなれないよ
だけど生きてる方がいい
だから僕は歌うんだよ 精一杯でかい声で」(TRAIN-TRAIN)



そのあとの、2006年のファッション雑誌のインタビューでも、
心境を語っている。人からどう見られるか?に悩んだり、
自分だけのために生きていくことへの罪悪感のようなものを、人以上に感じる性格だったのだろう。

(ブルーハーツ時代について)
甲本「怖くなって外にも出られなくなって。昼間から酒飲んじゃったりして」
 −それはアルコホリックだったってこと?
甲本「違うって言ってたけど、抜けたことなかったし。僕は聖人-セイントになろうとしていた。"誰もお前のことなんか見てねえよ"って思えるようになってからすごく楽になった。スーパーの試食コーナーで普通にひょいひょい取れるようになったし(笑)」



それから、また音楽とは別になってくるのだが、
最近読んだ堀江貴文さんのゼロとい本の中に、全く同じ言葉が書いてあって、
とても印象的だったので、抜粋。

「お前には人の気持ちってもんがわからんのかっ!?」
 顔を真っ赤にして怒る先輩に、僕は叫んだ。
「人の気持ちなんて、わかるわけがないでしょ!!」
 絶句した先輩の顔は、いまでも忘れられない。そう、人の気持ちなんて、究極的にはわからないものなのだ。僕のことをどう思っているのか、信頼してくれているのかバカにしているのか、本当のところは絶対にわからない。
 そしてわからないからこそ、僕は信じる。
 仲間を信じるからこそ、僕は全力で働くことができる。(ゼロ/堀江貴文著)



ちなみに、堀江さんはこのブログをリツイートしてくれています(笑)

ヒロトの繊細な感性を感じることができる一曲でした。
posted by 荒井コウスケ at 23:00 | Comment(0) | 未発表曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月14日

おやすみなさい(作詞・作曲:甲本ヒロト)



未発表曲については、あまり聞いてなかったが、
特に、この曲は聞いたことがなかった。


が、改めて聞いてみるととてもいい曲。
ヒロトの最初の青さがよく出ている。

と、ともに思ったことは、曲の構成が
クロマニヨンズに似ている。

クロマニヨンズは、原点回帰だったのか。

今、これをクロマニヨンズで歌っていても、
あまり違和感がないだろう。


目を閉じましょう 少し休みましょう
祈るのならば 願い事は一つ
明日のことは どうか決めないで

出だしから、休みましょう、というのは
ブルーハーツの、勢いを感じさせてくれる曲が多い中で、
かなりレアなケースだ。

これは、一度、リセットして考えを見なしてみよう、
というメッセージだと捉えた。

つまり、明日のことばっかり杞憂してないで、
今この瞬間こそを楽しみましょうよ、
だから、生き急いでる皆さん、今を感じるために、
一回休んでみましょうよ。

そんな思いを汲み取る。


明日はどんな 風が吹くやら
何を話そうか どんなカッコつけて
僕の洋服は みんな嫌いかな

「かっこつけること」に関して、ヒロトはこう言っている。

カッコつけんと生きとれんよ。飾りなんかいらないんだ≠ニいうカッコつけ。”




長い長い歴史の中で
今日が一番大好きなんだ
風も先生も知らないような
ステキなことが待っているんだ

このへんのメッセージは常に一貫している。

「今」が一番好きだ、ということ。
そして、そこに希望があること。

ヒロトの「今」に関する名言の中で好きなもの2つをピックアップ。

時代はよくも悪くもなってない
いつだって、今が最高。



19、20、21世紀と変わることって、些細なことじゃん。
そんなことより、今日が明日になることの方がよっぽど重大だよ。今が過去になることの方がさ。






長い長い歴史の中で
僕は今ここにいたいのに
昔の人が知らないような
生き方考え方持っているんだ



ここの考え方は、のちの「電光石火」に引き継がれている。

歴史の本の最後のページ 白紙のままで誰にも読めないよ


ただ、電光石火はその後出かけよう、出かけようと、動きを促しているが、
この後に来るフレーズは、休む、という非常に静的なものになっている。

目を閉じましょう 少し休みましょう
目を閉じましょう 少し眠りましょう

ブルーハーツの変わっていくさまが思い起こされる一曲。
posted by 荒井コウスケ at 23:18 | Comment(0) | 未発表曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする