2014年12月15日

1985(作詞・作曲:甲本ヒロト)



ブルーハーツ結成初期の、デビュー直後の曲。
スーパーベストが出るまでは未公開だった。

結成直後の1985年に完全自主制作シングルとして制作され、当時から本人たちは、
「これは1985年だけの曲であり、ライブでやるのも音源として発表するのも1986年になったらやめる」と公言していたらしい。
本当にそうしたので、
解散直後に出したベスト・アルバム『SUPER BEST』に収録されるまで、長らく幻の1曲となっていたとのこと。

ブルーハーツは時折社会派と称されることがあるが、
こういった反戦ソングを歌っていたこともあっただろう。

非常に重みのある歌詞。

1985 国籍不明の
1985 飛行機が飛んだ


国籍不明の、というのは例の広島・長崎、原爆投下のことだろう。
国籍不明、と言っているのは、どこの国で作られたかなんてしらねえけど、っていう想いも入っていそう。


風を砕くのは銀色のボディー


風を砕くほどの爆風を持つ原爆投下。
おそらく有名なB−29のことだろう。


謎のイニシャルは誰かの名前



これは、確認はしてないけど、誰かがそこに関わっているんだ、っていうニュアンスだ。
それが飛行機に刻まれていたのか、爆撃をくらった街のどこかの壁なのかわからないけど、
そこにそういった人が存在していた、ということを訴えているようにも感じる。

もしくは、エノラ・ゲイと呼ばれる、B−29に刻まれていた、製造者のことか。

250px-Tibbets-wave.jpg


僕達がまだ生まれてなかった
40年前戦争に負けた
そしてこの島は歴史に残った
放射能に汚染された島

この一節の重みが、奇しくも当時よりも増している・・・。

2015年になったら、ついに「70年前戦争にまけた」に変えてカラオケで歌えるだろう。
ちなみに2005年のときは、「60年前戦争にまけた」とカラオケで変えて歌うのが楽しかったです。

この当時のことは、やっぱり原爆によって引き起こされた様々な弊害、
放射性物質を含有した「黒い雨」をこの時のブルーハーツは良く歌い、
さらにそれを包括して「放射能に汚染された島」と表現しているが、

その言葉が繰り返されることになろうとは、当時のブルーハーツは知る由もない。

今回は人工的ではなく、津波の災害であるが、「放射能に汚染された」ことに変わりはない。


1985 求めちゃいけない
1985 甘い口づけは
黒い雨が降る死にかけた街で
何をかけようかジュークボックスで


なんで甘い口づけを求めちゃいけないのか?

それは、求めても手に入らないことがわかっている、けだるさのような感情だろう。
もう、この街にそんな甘い夜は訪れない。

死にかけているこの黒い街で、僕たちは何ができるんだろう?
これからどう変えていけばいいだろう?

1985年当時の、学生運動が盛んなパワフルな時代のバックボーンが思い起こされる。

私が生まれたのは1987年で、当時の状況は聞いた話でしかないんだけど、
高度経済成長期を通り過ごし、さらにバブルがやってくる目前の、日本全体のエネルギーの総量は
今よりもすごかったんじゃなかろうか、と想像する。

どんどん、日本が豊かになって、何か変えてやろう!って立ち上がる若者が、たくさんいたに違いない。

ちなみに「ジュークボックス」とは、音楽の自動販売機みたいなもので、コインをいれると音楽が再生されるらしい。今となってはiPodにいれて持ち歩けば、必要なさそうだ。時代のギャップを感じる。

1985 今、この空は
神様も住めない そして
海まで 山分けにするのか
誰がつくった物でもないのに



これはシャララのくだりでも出てきたけど、その時は「お天気の神様」がさようならも言わないで黒い雨を降らせている、と歌われていた。
神様が住めないくらい汚れてしまった、という嘆きだ。

そして人間の愚かさをトータルして歌う。
海に線をひいて、ここからここが誰のもので、なんて決めないとやっていけない人間の愚かさ。

この海は俺のものだ、誰にもあげない、なんてケチくさい。けどそれが人間。
海なんて誰がつくったわけじゃないのに、それを分けようとする。

皮肉な表現だ。


1985 クリスマスまでに
サンタクロースのおじいさんの
命が危ない


この箇所は、サンタクロース=夢を子供に与える存在
の象徴として表現されていて、
そういう希望のようなものが生きていけない、排除されるような空気感を言ってるのではないか。


1985 選挙ポスターも
1985 あてにはならない



「国のために」と書かれた選挙ポスターが宛になった試しがないじゃねえか、
そんな当時の政治への汚さや無力さとか、そういったものを揶揄している。

僕達をしばりつけて 一人ぼっちにさせようとした
すべての大人に感謝します 1985年 日本代表 ブルーハーツ


これはすごい表現だなぁ。皮肉ですよ。
たまにこれをわかんない人がいますが、皮肉です。きっとそういう人は大人にしばりつけられた経験がそんなにないのでしょう。

「なんで感謝するんですか?」ってそのまままじめに捉えてる人がいたからな。


しばりつけてくれたあんたらのおかげで、こっちはすげえ大事なことに気づいちまったよ、よくぞひとりぼっちにさせて苦しめてくれた、ありがとう大人、っていう。究極の皮肉なんですよ。

やりたくないことを無理やりやらせたり、劣等生は排除したり。

その反骨心むき出しでブルーハーツはしばらくやっていくみたいなスタンスだし、本気で思っていたのだろうな。


そして、この頃別に人気があったわけでもないのに、「日本代表」と言っちゃってるあたりがすごい。
大物感が半端じゃなかっただろうな。
当時の若者はこのフレーズで一瞬にして心を掴まされただろう。


なんていうか、私は、
体裁をつくろうことで、嘘をついてその場をやりぬき、信念をまげて薄っぺらい笑いを満たして生きていくような空気感に、たまらなく反抗したくなる時期があったから、この言葉が、その意図するところとは違うかもしれないけど、とても響いた。


個性とか発揮してんじゃねえよ、はみ出し者めが、みんなまともなフリして嘘ついて生きていくのがいいんだよ、みたいな感じを出してくる集団に、今だって一人だって噛み付いてやろうと思ってる。問答無用でおさまらない時が、何回かあるんだ。

そんな精神を、私は一生忘れない。

それを呼び起こさせてくれる、大事な一曲です。

posted by 荒井コウスケ at 07:00 | Comment(8) | その他シングル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お早うございます。私も『SUPER BEST』で初めて
この歌を知ったクチですが、大好きな一曲です。
ブルーハーツはこういう「限定曲」が多いです
よね。中には音源にもなっていないような…。

彼らは、特にヒロトは一貫して反戦、反核を
歌っていると思いますが、これはまさにその最初
の歌と言えるかもしれませんね。

「謎のイニシャルは〜」
「海まで山分けにするのか」
「サンタクロースのおじさんの〜」
等々、何度聴いても表現が上手だなぁと思います。
Posted by 小太郎 at 2014年12月15日 08:24
こんばんは。

この歌のいきさつは知っていて『この時のライブに行ってレコードもらった人はすごいなぁ』ってとても羨ましかったのですが、数年前youtubeで始めて聞いてコメントに『その場でしか発表しないって言ってたのに!今はカラオケにもある』って憤慨している方がいてそりゃ怒るよなーって思ってました(笑)でも聞けて嬉しかった歌です。

ブルーハーツって確かに『社会派パンクバンド』なんて呼ばれてた時もありましたねぇ。
『銃』『戦争』『戦闘機』『政治家』なんてキーワードが入った歌、今でもけっこうありますもんね。

『1985』で気になっていた部分、解説を呼んでスッキリしました。『謎のイニシャル』や『サンタクロース』のくだりです。なるほどです。

悲しい事に2度も放射能に汚染されてしまった島。今のヒロトとマーシーはその時どう感じたんだろう。この歌や『チェルノブイリ』を思い出したりしたのかな?

私が一番ガツンときたのは『神様も住めない 海まで山分けにするのか』のくだりです。尖閣諸島や領海侵犯のニュースを見るたびこの歌を思い出します。

最後のセリフしびれますね!いつかカラオケで叫んでみたいですが、温度差が激しすぎてなかなか歌えません。
Posted by しおまめたろう at 2014年12月17日 18:18
小太郎さん

コメントありがとうございます!!

ホント、この曲から表現力の高さが伺えますよね(*^_^*)

私もこれを知らなかったので
スーパーベストでしりました^^

他にもあれば音源化してほしいですよね〜

またお願いします!

荒井


Posted by 荒井コウスケ at 2014年12月18日 12:05
しおまめたろうさん

当時から知ってたってすごいですね〜!!


ブルーハーツが社会的なことについてはそれで勉強になるんで、よかったです。
チェルノブイリも広島のライブで、各自これをきいて考えてみてください!とMCで言ってましたし!


今回の件でリリースしたのは「ナンバーワン野郎」でしたね。

立ち上がる〜と直接的には表現しませんでしたが、実際どうなんだろう、とは気になりますね!
Posted by 荒井コウスケ at 2014年12月18日 12:57
あ、その当時は知らないですよ。
もっと後になってからです(笑)

なんナンバーワン野郎ってそういう歌だったんですか?知りませんでした。
もう一度聞き直してみます。

私はハイロウズ時代は少し彼らから離れていたのでほとんど知らないのですが、クロマニヨンズの解説ももしやるとしたらそれも楽しみです♪
Posted by しおまめたろう at 2014年12月22日 03:19
ナンバーワン野郎って、震災の直後に発表になった
とは聞いていましたが(発売はもっと後)、被災地
を励ます曲なのかな、ってシンプルに考えていました。
反核のメッセージはかなり分かりにくいものに
なっていますね。わざとだと思いますが。
「カクナンゾーンナチンケナモン」(笑)とか、
「B&K」とかがそうだと思っていますが。
Posted by 小太郎 at 2014年12月22日 12:24
しおまめたろうさん

ハイロウズ時代は離れてらしたんですね!
はい!ブログという形式をとるかはわからないですが、解説したいと思っています!!

クロマニヨンズもいずれは笑

かなり時間かかりそうですが!!

ナンバーワン野郎はまだ僕もわからないのですが、きっと何か意味がありそうです!


小太郎さん

震災地をはげます意味はありますよね!そこから日本全体のことなのかなぁ〜と個人的には思っています!

カクナンゾーンは隠していますが、もろに表現していますね!B&Kっていうのはわからないのですが、なんでしょうか??
Posted by 荒井コウスケ at 2014年12月27日 18:28
エノラ・ゲイはB29操縦者の母親の名前だったと思います。
Posted by at 2016年11月17日 16:08
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