2015年07月27日

すてごま(作詞・作曲:甲本ヒロト)







この曲はものすごい破天荒男の歌かと最初は思った。

でもよくよく聴いていくと、

その事を批判するのではなく、

最低最悪の批判される人間のつもりで歌う、といういわば究極の批判をこの曲でブルーハーツは体現している。

あいつは最低だ!というのではなく、最低なやつのやっている心情になって、歌う、という。

これは、アメリカのことなのか。あえてここはブルーハーツが伏せているように、自分も特定の政治感情は抜きにして解説する。

また、ハイロウズでは彼らは「アメリカ魂」にて痛烈なアメリカ精神を皮肉っている。

詳しくは曲を聴いて下さい。



これは、以前解説した「やるか逃げるか」の精神にも似てるかもしれない。

出だし

おろしたての戦車でぶっ飛ばしてみたい おろしたての戦車でぶっぱなしてみたい


(こいつの感情)

人の命なんてかんけーねーよ、マジでぶっぱなすのとか楽しそうじゃん?

ゴミみたいにやっちまおうぜ。



何か理由がなければ 正義の味方にゃなれない 誰かのかたき討ちをして かっこよくやりたいから


(こいつの感情)

とりあえずさぁ〜、俺、マジで正義の味方としてえらく扱われたいから、理由が必要なんだよね。

かっこよくなりたいしさ。

君 ちょっと行ってくれないか 捨て駒になってくれないか いざこざに巻き込まれて 泣いてくれないか

(こいつの感情)

というわけで、そこの誰だかしんないけど、俺がかっこよく映るために、かたき討ちとして理由をつくるため、

お前、捨て駒になっていろんな事件に巻き込まれてくれよ。



いやいや、どんだけ自己中心的やねん、とか思うけど、こんなことは世の中にたくさんはびこっているんだ。

言ってないだけで、こういう行動をしている場面を目撃したことはないか。





あの娘に俺が何を やったのかなんて 覚えてるはずがないだろ 俺はやってない

何かきっかけさえあれば次は俺の順番だ 今度こそやってみせる

やってやってやりまくるんだ

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ここで場面がかわって、レイプしまくって遊びまくった軍人の心情になる。

「やってみせる」はいろいろな解釈ができるけど、要はレイプだと思う。

ヒロトもやってやりまくるんだ、のところでライブ中、腰をふってるし。



潜水艦も持ってる 魚雷も積んでる 戦闘機も持ってる 燃料はいつも

満タンにして置いてある いつでも飛び立てるように

全てを焼きつくす程の 爆弾が出番を待ってるぜ




場面が変わって、国同士の争いになる。

全てを焼きつくす?



長崎のことか?広島のことか?



日本人の僕ならそれを感じずにはいられない。

でも、多様性というのがあって被害者でも有り、加害者でもあるんだろう。

何も米軍だけがこの歌のターゲットになるわけではない。





君ちょっといってくれないか すてごまになってくれないか

いざこざに巻き込まれて 死んでくれないか 死んでくれないか 死んでくれないか




そして、最後、死んでくれないか、に変わっている。

それは強烈な皮肉だろう。

そして、ライブでは最後の死んでくれないかが一オクターブ上で歌われ、この歌の感情の全てをそこで完結させている。

この歌はライブバージョンが公式で発表されている曲が2つ有り、野音とシングルのカップリングで発売されている、最もライブバージョンの多い曲。

ちなみにカップリングのほうのライブバージョンは途中で歌詞を間違えている。
(何か理由がなければ〜のところを何かきっかけさえあれば〜で歌おうとして途中で気づいて歌うのをやめている)

直接的に批判するのではなく、こういった手法をつかって痛烈に批判する、言葉の天才のブルーハーツらしい高等な皮肉の一曲。
posted by 荒井コウスケ at 07:00 | Comment(8) | STICK OUT (6th Album) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月20日

闘う男(作詞・作曲:真島昌利)



ブルーハーツ後期から、少しづつわかりづらい歌詞を多用するようになってきているが、
珍しくこの曲はその言葉通りの一曲。

そして内容的にも、それほどブルーハーツのテイストがきいているわけではなく、
誰がきいても分かる曲となっている。


ブルーハーツは、こういった「男」をテーマにした曲も多い。

〜の男、もそうだが、〜野郎、〜マン、〜ボーイと表記されているものもある。

せっかくなので調べてみた。(ハイロウズ・クロマニヨンズなども含む)

さすらいのニコチン野郎(ブルーハーツ・マーシー作)

シッパイマン(ハイロウズ・ヒロト作)
不死身のエレキマン(ハイロウズ・ヒロト作)
ミサイルマン(ハイロウズ・ヒロト作)
チェンジングマン(ハイロウズ・ヒロト作)
ジョーカーマン(ハイロウズ・ヒロト作)
スーパーソニックジェットボーイ(ハイロウズ・マーシー作)
天国野郎ナンバーワン(ハイロウズ・マーシー作)
ただ一人の男(ハイロウズ・マーシー作)

チンパンマン(クロマニヨンズ・ヒロト作)
ナンバーワン野郎(クロマニヨンズ・マーシー作)
ボンジュール・ロマンマン(クロマニヨンズ・ヒロト作)

涙の男(未発表・ヒロト作)
ロックの豚野郎(未発表・マーシー作)

GO!GO!ヘドロマン(マーシーソロ・マーシー作)



予想以上に見つかった(笑)


そして、これを調べていくいうちに気づいたんですが、「ジョニー」とか「パンチョリーナ」とか
「大臣」とか「キング」とか、「〜君」とか「使者」とか、そういう、人をタイトルにしているのが異常に多いということ。
ここまで人をタイトルにしているアーティストっているのかな。

また、それと他に「カー」とか「ガン」とか「拳銃」とか、兵器っぽいニュアンスのタイトルも多かった。


なんか、ヒーローごっこしてる少年がそのまま大人になったって感じ。


出だし

どんな挑戦も受ける 闘う魂なのだ
もう一度僕を 震わせておくれ



この、最後のところの、震わせておくれ、
というのは他の誰かの闘っている人に対して、
その姿で自分を鼓舞させてくれ、というニュアンスのものなのか、
それとも自分の魂に対して、俺の魂よ、俺を鼓舞させてくれ、
という自分から自分へのものなのか、
二通りの解釈ができた。

ただ、これは一人称というよりも多くの人が関わっている印象を受ける。


どんな言葉なんかより 黄金の滝のように
流れる汗を信じているから



これは、「人にやさしく」の

このまま僕は 汗をかいて生きよう

に通じ、実際に

ああ いつまでも このままさ

っていうのにそっている。




肉体を武器にして ただ一人立ち向かう
闘う男たちよ 冷たい風に吹きつけられても



ここで多くの人が関わっている、というのが明らかになるのだが、
自分に向けてだけではなく、闘う男たちよ、と
人々へなげかけている。


つまり、英語で言うなら「I」ではなく「WE」である。


何かと闘っている者同士の連帯感。





燃え上がる情熱なら 何にも変えられやしない
闘う男 どこまでゆくのか




なんか、これ久しぶりに熱い気持ちをストレートにブルーハーツが表現している感じがする。

未来は僕らの手の中とか、
世界の真ん中とか
裸の王様で、ド直球にぶつけてきた、あの感じ。


ただ、あの頃よりもどこか毒がぬけ、よりゆるやかなイメージを受ける。
淡々とヒロトさんが歌っているせいもあるだろう。



最終のゴングまで 諦めやしないのだ
闘う男たちよ 虚勢は張るが 去勢はされない



ここだけ、唯一、マーシーっぽい。

ダジャレをつかうところが。


ちなみに、マーシーが曲の中で使うダジャレの中で個人的に一番好きなダジャレは


「デモクラシー  でも暮らしいいい?」(俺は政治家だ)


です。

今回の虚勢と去勢は少しわかりづらいかな。



また、戦うと闘うは読み方は同じだが漢字が違う。


どのような違いがあるのか、調べてみた。


「戦う」の意味



武力を用いて互いに争う。戦争する。
互いに技量などを競い、勝負を争う。競争する。試合する。




「闘う」の意味



思想や利害の対立する者どうしが自分の利益や要求の獲得のために争う。
苦痛や障害を乗りきろうとする。打ち勝とうと努力する。


なるほど、この「たたかい」は、武力によるたたかいではなく、もっとハートの部分でのたたかいなんだな。


ここまでマーシーが意識していたのかは謎。


ブルーハーツ感がそこまでないので、すごい好き、っていう曲ではないが、
たまーに聴きたくなる一曲です。
posted by 荒井コウスケ at 07:00 | Comment(4) | HIGH KICKS(5th Album) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月13日

窓をあけよう(作詞・作曲:甲本ヒロト)




本ブログ2作目の未発表曲からのチョイス。

個人的に、この曲はヒロトさんが特に大事にしていた一曲なのではないかと思う。

公的に曲として発表はされていないが、ブルーハーツの初期時代には多く歌われていたようだし、
ブルーハーツ解散後、ヒロトさんが組んだバンド、ヒューストンズでもこの曲が披露されている。


そして、ブルーハーツの普段の曲とはテイストが明らかに違う。
それもブルーハーツとして発表しなかった理由なのではないか。


なんというか、ちょっとネガティブ。
ブルーハーツの曲って、バカにされたり否定されても、そこから這い上がる爆発的な
エネルギーを発揮している曲が多いのに、これについては、
少し遠目から見て客観的に見ている部分がある。

そして、内容も少し考えさせられるところもある

出だし


どこにも行けない人がいる
誰にもあえない僕だよ


なぜ、どこにも行けないのか。そして、誰にも会えないのか。
これは何か遠回しな表現なのではないか。


いらないものばかり手に入れてしまった
どこへ捨てようか少し勇気を出そう



もしかして、現在の状況で自分が自分の欲で必要のないものを
手にい入れてしまい、それによって身動きがとれなくなっている状況の人のことなのでないか。

だから、先ほどの、どこにも行けない、誰にも会えない、につながるのだろう。



窓を開けよう 窓を開けよう
窓を開けよう 窓を開けよう




これはつまり、今現状の部屋を抜けだして、違う場所へ行きたい気持ちの現われだろう。

あえて具体的な表現をとらず、いろいろなニュアンスを感じれる言葉をチョイスすることで、
いろいろな場面で聴けるようになっている。



両手を広げてこぼれない分だけしか
のぞんじゃいけない
ほしがっちゃいけない


そして、これは個人的名フレーズ。


後のヒット曲「夢」の「あれもほしい これもほしい」とは真逆のことを
言っている。


しかし、これは自分への懺悔的気分で歌われる曲だろう。
ヒロト版「チェインギャング」じゃないか。


よって、「夢」とこの曲は反対するようで両立される。



自分が抱えきれるだけの幸せがあればいいんじゃないか、
と欲張って望み過ぎてしまって少し懺悔的な気分になっている状況で、
自らを省みている。

こういった心情になるのは、今のヒロトさんでは考えられないだろう。



まだブルーハーツ初期の、悶々としている煮え切らない当時の雰囲気を匂わせている。




いらないものばかり欲しがってしまった
誰に謝ろうか少し勇気を出そう



今のヒロトさんだったら、こんなこと言わない心境になってそう。


ハイロウズ時代に発表した曲、TOO LATE TO DIEの中でも言ってるし。
「降りるはずの 駅は後ろ 泊まるべき 港をはなれてく」

というのは、もう死ぬタイミングをとっくに逃してる、だから、

「ペテン師の 遺伝子を ばらまく」


っていってる。つまり、究極の開き直りなんですね。
でもそれによって、かなり生きやすくなったんじゃないかな。


いろいろ悩みぬいた末の今なんだろうな。



涙がこぼれて止まらない
幸せがそこで手を振ってる
両手を広げてつかむはずの幸せ


幸せになれるはずだったのに、幸せになれなかった、
何かあったのだろうか。それの涙なんだろうか。


手を降っている、っていうのは、窓の向こう。
今にも届きそうなくらいの距離だろう。
だけどまだそこに辿りつけていない。もしくは、それを
おいていかなくちゃいけない理由があった。

結局、この主人公は、幸せをつかめないで終わっている。

だけど、これから変えていこう、っていう心持ちでいる。


今すぐに、窓を開けようとこのあと言っているから、
何かを変えるんだ、っていう心境になったんだろう。
posted by 荒井コウスケ at 07:00 | Comment(4) | 未発表曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする